3 棒道付近の史跡


◆1.大井ヶ森番所あと

 国道141号線の長沢交差点から小淵沢に抜ける,県道小淵沢−長沢線は,古代からの道です。長坂町大井ヶ森は,この道沿いにあります。
 大井ヶ森(標高約880m)は,武田時代,諏訪へ行くときの大切な通過場所でした。「1542(天文11)年,大井ヶ森御陣所を信玄が通った。」とう記録があります。
 江戸時代になると,同所に大井ヶ森口留番所(領内に出入りする人や物資を取り締まる所)が置かれました。警備には大井ヶ森村と白井沢村・大八田村の農民があたり,江戸末期まで関所としての役目を果たしていました。
 現在,番所で使用した井戸が残っています。

 ※口留番所:江戸時代,他領と接する交通上の要地に置かれた小規模な関所。人の出入りや商品の流通を監督した。

   

◆2.小荒間番所あと

 小海線甲斐小泉駅から西へいった,第1ガードのあたりが,小荒間番所のあとです。
 甲府・韮崎から逸見路を経て小荒間(標高約1050m)を通り,八ヶ岳西麓をぐるりと廻って信州立沢へ通じる棒道に備えられた関所です。
 天文年間(1532−55)にできたもので,当初は信玄の信濃攻略に大きな役割をもったとされています。
 大井ヶ森と同じく,江戸時代になると口留番所が置かれ,小荒間村・白井沢村,松向村(今の小淵沢町)の3村が警備にあたっていました。

   

          【小荒間番所の構造】
               ★ 「門」と「矢来(やらい)」と「道具建」からなっています。
                  ・石垣の長さ………約9m
                  ・番所の大きさ……約5m40cm×3m60cm
                  ・庇(ひさし) ………幅 3m60cm,長さ 76cm
                  ・門  ………………高さ 3m64cm
                     扉は,幅1m40cmの両開きで,格子戸をあける
                     と約2m70c mになる。
                  ・矢来………………門から左右にそれぞれ約10m
                  ・道具建(捕り方の道具を立てかけておく所。門の脇にあった。)
                        ……………高さ 1m50cm・横 1m50cm
 


◆3.小荒間古戦場あと

 小海線甲斐小泉駅近くに「小荒間の合戦あと」という場所があります。
 これは,1540(天文9)年2月,信濃の村上義清の軍勢と武田信玄との合戦があったといわれている所です。
 (『甲陽軍艦』によるこの説は,史実としては,きわめて疑問が多いとされています。)

 信玄が本陣を敷いたといわれる場所を「中屋敷」といいます。また,御座石(ございし),遠見石(とおみいし),刀架石(とおかいし),鞍掛石(くらかけいし)等があり,西には耳塚と呼ぶ2つの塚があります。
 この付近からは,弓のやじり,仏像,兜の鉢などが発掘されたと伝えられていますが,これも定かではありません。

 ※「小荒間の合戦」:1540(天文9)年,信濃(長野県)の村上義清が深い雪の中,3500余の大軍を率いて小荒間に侵入し,この辺りを焼き払った。これを知った信玄は,多田三八の勧めで即時出陣し,旗本だけの夜襲で敵を破り,勝利をおさめたという。ただし,史実としては疑問点が多い。

 
  
   (御座石)                  (鞍掛石)
 

◆4.矢の堂あと(観音平)

 矢の堂は,甲斐源氏の祖,新羅三郎義光(源義光)が11世紀末に大津の三井寺より勧請したもので,空海上人作の聖観世音菩薩(矢の観音)を本尊とし,信玄もあがめうやまうお堂でした。そして,信玄は信州大門峠の合戦に向かう折り,矢の堂に先勝祈願したところ,見事勝利をおさめました。
 そのためこれを機に矢の観音を棒道に近い観音平に移して祀ったのです。
 信玄は,その後も信濃攻略のたびに観音平に立ち寄り戦勝を祈願したとされます。

   
    (現在の観音平)
 

◆5.笹尾遠見番所あと

 笹尾遠見番所は,甲斐の国唯一の遠見番所として知られ,一般には番所または関所と呼ばれていました。小淵沢町上笹尾の県道小淵沢−長沢線沿いの北側で,大滝神社の東方200m地点に置かれていました。
 ここは小淵沢・大井ヶ森の両口留番所の中間に位置し,ここから棒道に通じる道があることから両番所を避けて通る(駆け抜ける=逃げる)者を見張るために設けられ,口留番所とはその任務が異なっていましたが,その後口留番所の性格を帯びるようになりました。
 『甲斐国誌』に「上笹尾村ニ東方大井ヶ森ヘ出ル間径アリ,此ニモ哨堡ヲ置ク」,哨堡つまり遠見番所である。

 

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