イネはどのように育てられているのだろうか その2
イネの花は自家受粉
…イネの花を見たことがありますか
 強い夏の日射しを浴びて,茎の根元から次々に新しい茎や葉を伸ばす「分けつ」が進んだイネの茎の中には,7月になるとイネの穂の元になる「幼穂:ようすい」が形成され始める。8月上旬になると葉のサヤをわって穂が伸びてくる「出穂:しゅっすい」が起こる。出穂が起き始めて2〜3日で,穂の全体が姿を現すと,穂の先端からイネの花が咲き始める。イネは天気の良い日の午前中に花を咲かせる。イネの花は,大きく目立つ花を咲かせて昆虫を集め,昆虫の力を借りて花粉を運んでもらう虫媒花と呼ばれる花とは異なり,雄しべの花粉が風の力で運ばれて受粉が行われる風媒花で,しかも,雄しべの花粉が同じ花の雌しべに付いて受粉する「自家受粉」という方式をとっているので,とても地味で目立たない。8月下旬の田んぼでイネの花を詳しく観察してみた。
イネの開花,籾(頴:えい)が2つに割れて白い雄しべが飛び出している。花が咲いているのは2時間程(8月)
 イネの開花と受粉は次のような順序で起こっている。
1)外側の穎(えい:もみがらになるところ)が開いて6本の雄しべが伸びる。
2)先端に付いている葯(やく)の下に穴があき,花粉が飛び散る。
3)花粉が穎の中に隠れている雌しべの柱頭に付着する。
4)花粉は胚に向かって花粉管を伸ばして受精が起こる。
5)受精が終わると穎が閉じる。
6)胚にどんどん養分が送り込まれ、子房が大きく膨らんでいく。
 子房は始めは縦に長く成長するが,順に幅や厚みも増し25日位たつと,ほぼ玄米の大き
さにまで成長する。この後,水分が減って硬くなると共に,小さくなって透き通ったモミが出
来上がる。
茎が伸びて穂を押し上げ,出穂が
近づいたイネ(8月)
水面はアオウキクサが繁茂して緑
に見える

 落水(田んぼの水を抜く)直前の
 イネ。穂が垂れてくる(9月)
 稲刈り直前の落水したイネ。
 1本のイネが数多くの茎に分
 けつしているのが分かる(9月)
 胚にデンプンが蓄積して熟してくるにしたがい,モミは重さを増して穂が垂れ下がり,黄金色に変わってくる。出穂から35日余りたったところで田の水を抜き(落水という),田を乾かして稲刈りに備える。40〜50日位たち,穂に少し青みが残っている頃になると,イネ作りのクライマックスである稲刈りの時期を迎える。出穂から稲刈りまでの間がイネが最もいろいろな病害虫やスズメなどに狙われる時期で,古くから行われている「虫追い」や「虫送り」などの行事は,化学薬品に頼れなかった頃の祖先達の工夫の現れでもある。
稲刈りは,刈り取りながら脱穀も同時に済ませてしまうコンバインを使って行われる事が多いが,深沢さんはイネを一株ずつ手で刈り,4〜5株をまとめて束ね,細い間伐材や竹を組み合わせたオダに掛け、1〜2週間天日乾燥することでモミの水分含有量を15%程度にし,貯蔵性を高めている。
黄金色に熟した穂が重そうに頭
を垂れている稲刈り直前のイネ
(10月)
 刈り取ったイネは束ね,オダと呼
 ばれる物干しにかけて天日乾燥
 する(10月)
 稲刈りの済んだ田んぼ。この田
 んぼは不耕起なので、このまま
 の状態で冬を越す(10月)
 刈り取られたイネは脱穀機にかけて穂からモミを落とし,箕(み)や唐箕(とうみ)などの道具を使って,風の力でワラくずや未成熟のモミをより分けている。
収穫したモミはモミガラが付いたままの状態で保存しておくと長期間保存できるが,通常は籾すり機を使ってモミガラを取り除いた玄米(げんまい)の形にして保存している。店頭に並んでいるお米は,この玄米をさらに精米機にかけ,表面のヌカを取り除いたもので,白米(精白米)と呼ばれている。
 駆け足で米作りの1年を追ったが,紹介しきれなかった細かい作業は他にも沢山あり,米作りには本当に八十八の手がかかっている。
ニ ホ ン ズ イ セ ン
日本水仙 Narcissus Tazeta [ひがんばな科]
多くの草達が寒さに耐えてひっそりと春の訪れを待つ早春に,青々とした葉を寒空に向けて凛と伸ばし,可憐な白い花を咲かせているこの花の姿は,やがて訪れる春の息吹をいち早く運んでくれるのでとても好きだ。
 ニホンズイセンはヒガンバナ科の多年草。平安時代に日本に渡って来た地中海地方が原産の帰化植物。暖流の流れる海岸地帯には自生しているものもあるが,山梨では花壇でしか見られない。
 ギリシャ神話では、美少年ナルキッソスの生まれ代わり。自己陶酔や自己愛を意味するナルシシズムは,この花の学名が元になっている。
 一高正門横植え込みにて

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