大石紬の特徴


 大石紬は、手作業により座繰り製糸された糸を使います。
 伝統的な手法によって、経糸(たていと)は本まゆから、緯糸(よこいと)は玉まゆから取り出します。座繰り製糸された糸は、糸ほかし等の数々の行程をへて、実際の織り糸になります。
  大石紬は丈夫で軽くてやわらかく、絹特有のすべりの良さも合わせ持つ特徴があります。


                                                                                  
特徴@ 
 座繰り製糸

 『座繰り製糸(ざぐりせいし)』は、まゆから糸を取り出し、よりあわせていく作業です。
 選んだまゆを煮沸(しゃふつ)し、適温に保ちながらウツギまたはススキの穂などの逆目だったもので湯鍋をなでるようにしてまゆから口糸を取り出します。経糸(たて糸)で16〜17個、緯糸(よこいと)で18個のまゆを座繰りします。
 この糸を三本合わせて一本とし、実際の織り糸にします。
 この糸はできる限り一定の太さにしなければなりません。また使用目的によっても糸の取り出し方がちがうのです。ですから、この作業には長年の経験と勘(かん)が要求されます。
  

  
特徴A
 糸ほかし

 座繰り製糸の後、いくつかの工程をへた糸は精錬(せいれん:あらう作業)されます。その後で『糸ほかし』という作業がくり返されます。
 これは、かせにしてある織り糸のたばに太い丸太と細い丸太とを通し、かたまっている糸を広げながらのばすようにし、糸の調子を整える作業です。位置を変えてまた同じことをくり返します。この糸ほかしの作業により、大石紬のつやとしなやかさが生まれます。ふんわりとした布地に仕上げるための重要な作業で、これもまた長い経験と勘にたよらなくてはなりません。
  

  


 大石紬の反物(たんもの)では、しま模様やかすり模様がよく使われます。

 『かすり』の模様は、糸を染める(染色する)ときに糸をしばって、染色させない部分を計画的に作っておきます。織り上げると美しい模様になります。

 右の写真は、織り上げた紬の布に美しい絵を染め上げた着物です。
(かすり模様の反物になる糸が整えられている織機) 








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