2026年1月22日カテゴリー:

令和7年度 初任者研修会

 令和8年1月9日(金)と1月16日(金)に第11回初任者研修会を行いました。暦の上では厳冬ですが、山梨県総合教育センターの研修室には、初任者の皆さんが放つ熱いエネルギーが満ち溢れていました。小学校、中学校、高校、特別支援学校の初任者を対象に「ICTを活用した授業実践報告」「子供主体の授業づくり」の研修を行いました。養護教諭の初任者は別途「保健教育実践報告」「学校保健活動の評価」を行いました。3学期に入り、今回は初任者同士の対話の深化や省察(リフレクション)の質の向上が感じられました。また、3か月ぶりの仲間との再会で、笑顔や楽しそうな表情が見られました。
 

 まず、小中高特の先生を対象にしたイントロダクションでは、「あなたが理想とする子供の学びの姿とは?そのとき、ICTの存在意義は?」という問いからスタートしました。2学期までの実践のなかで試行錯誤しながら授業づくりをしてきた初任者の皆さんにとって、そもそも「自分自身が描く理想の学びの姿って何だろう」とこれまでの歩みを少し振り返ってもらうような時間になったかと思います。ICTを活用することがマストな時代においても、学びの本質には“変わらないもの”がきっとあるはずです。自身が経験してきたことが、今の実践に必ず生かされているはずです。そして、これからも「理想の子供の学びの姿」を探究し続けていくために、今回はこの問いを起点に研修をスタートしました。

 

 午前中の「ICTを活用した授業実践報告」では、グループ数を昨年度の倍に増やしました。会場ごとのグループの人数を10名前後にし、山梨県総合教育センターの指導主事がグループファシリテーターとして1名ずつ加わりました。グループごとに目的の共有やアイスブレイクをして、事前に作成したスライドを使って1人10分程度で発表しました。会場ごとファシリテーターが午前中の170分間をデザインし、グループ対話の中身や時間を工夫しました。さらに意見共有では、ICTを駆使したグループや、席の配置を工夫するなど“対話”を重視したグループもあり、単なる「発表会」ではなく、対話や省察を主体としていました。
 

 ICT活用における習熟度は年々高まっており、初任者という肩書は関係なく、学校の先頭に立って活用を推進している方も多くいました。互いの発表を聞くときも前のめりになり、終わると質問攻めに遭う方もいました。やはり、多くの皆さんがICTの有効的な活用には関心が高く、またアンテナも高いため、お互いの実践をどうやって自分に活かしていくべきかを考えていました。グループの対話でも、各自が普段使っているアプリやソフトの使い方などをはじめ、また、方法論だけにとどまらず、見えてきた課題に至るまで活発に対話が進んでいました。この時間は単なる事例の共有ではありませんでした。そこにあったのは、ドナルド・ショーンが提唱した「反省的実践家」たちが、互いの経験を編み直し、知恵を協働で創り上げる姿そのものでした。

 

 午後の最初の研修は、ICT教育支援センターの関博史指導主事による「ICT活用」について、午前中の総括的な話をしていただきました。現行の学習指導要領に書かれている「資質・能力」や「教育課程の三本柱」など、各教科で身に付けたい力を振り返りました。そして、令和3年答申にもある「個別最適な学び」「協働的な学び」にICTの活用が大きく関わっているという話を改めてしていただきました。
 

 関博史指導主事の話題提供の後は、有賀拓也指導主事による「ICTを活用した授業づくりの展望」についての対話をワークも交えて行いました。話題提供を受けて、各自がどのように感じ、何を考えたかを共有し、「3学期の授業に新しくICT活用の場面を導入するとしたら」という設定で「授業構想」を練りました。「導入」「展開」「終末」というシンプルなワークシートに、これまでの研修で得た新たな活用方法などを盛り込んでいきました。明日からの実践にすぐに目を向けていくことは簡単ではないはずですが、ワークシートに新たな試みがたくさん書かれていることに驚きました。「単元」を意識した授業づくりを日頃からしている証拠だと思い、手元に教科書がなくてもどんどん授業展開を練っている姿は頼もしく感じました。
 

 午後の最後の研修は、小学校は有賀拓也指導主事、鈴木高徳指導主事、中学校は鈴木高徳指導主事、高校は河野文宣指導主事、特別支援学校は石川達也指導主事と有賀拓也指導主事による「子ども主体の授業づくり」について、視座を高める研修を行いました。これまでのICTを中心とした方法論や授業づくりを一度広い視野で捉え、今の時代に求められている「自立した学習者の育成」「子供の主体性」をどのように育むのかを、初任者のみなさんと一緒に考えました。どうして子ども主体の授業づくりがいま求められているのかという時代背景や、学習指導要領や答申、いま議論がされている「次期学習指導要領」などにも目を向けて、これまでの経緯と現状を把握する上で、教師としてどんな学びをしたらよいのかを考えました。この問いに対しては技術的な課題で解決するものではなく、その在り方や捉えなど個々の解釈も含めてどんなものなのかを、それぞれが知恵を出して対話を繰り返すことが大事だと考えられています。初任者の皆さんも、この時代における教師の役割とはなにか、そしてイントロダクションで考えた「理想の子供の学びの姿とはなにか」をもう一度考え、これまでの自身の捉え方をさらに深める時間となりました。中には、眉間にしわを寄せて、腕を組んで、上を見上げる初任者もいたり、グループの対話で「難しいよね」「どうやればいいかな」と正解のない問いに悩む姿を見せる初任者もいたりと、印象的でした。それは、理想の学びの在り方と、目の前の子供たちの学びの在り方を重ねながら未来を描いている姿に見えました。実は、この「悩み、揺らぎ、葛藤する姿」こそ、最も感動した光景です。 理想の学び(教育学的な知)と、目の前の子供たちのリアリティ。その巨大なギャップを直視し、なんとか橋を架けようともがく時、教師としての「魂」が磨かれます。皆さんのその苦しそうな表情は、子供たちの未来を真剣に背負おうとしている、尊いプロフェッショナルの姿でした。

 

 1日の研修を終え、思考をフル回転させた皆さんの顔には、明らかな「心地よい疲労感」がありました。冬休み明け、いきなりエンジンを全開にするのは容易なことではありません。それでも、仲間との対話の中で、誰かの言葉に頷き、誰かの実践に目を見開くことで、皆さんの瞳に再び光が宿る瞬間を何度も見ました。初任者同士の対話により、お互いからパワーを得られた1日になったと感じます。最終回は2週間後です。それぞれの「1年間の歩み」を振り返ります。そして、次の1年、5年、10年先の未来を仲間と共に描きます。皆さんの熱に負けないように、本センターも最後の学びをどのようにデザインするのかを、担当者を中心に最後の最後まで練って練って練って練って練ってまいります。有終の美を飾るその日まで。皆さんの歩んできた道のりは、間違いなく子供たちの力になっています。自信を持って、また来週、元気な姿でお会いしましょう。